経済危機の影響を受けにくい業界は? 転職活動前にチェックすべき7つのポイント

新型コロナウイルス騒動の影響で、転職市場には大きな変化がありました。

厚生労働省の統計によると、2020年3月の有効求人は前年同月比で86%まで減少しています。

一方で求職者数は前年比で横ばいです。

一言で言えば、「転職先の数が減ってしまっている」ということですね。

2020年3月といえば、一部の地域の学校は休校になり始めた時期。

とはいえ緊急事態宣言が出たりだとか、世間で大きな動きはありませんでした。

小池都知事がメディアによく出るようになるまで、私たちは普通の生活を送っていたはずです。


しかし次第に騒ぎは大きくなり、東京オリンピックの延期が決まったり、高校野球が中止になったりしました。

そして日本ののみならず、世界が一斉に経済活動を止めてしまいます。

およそ約2か月間、経済活動が停止した影響は、今になってじわじわと出始めています。


あるアンケート調査では36%の企業が、採用に関して新型コロナウイルス騒動の影響があると答えています。

採用する側である一部企業は、「自粛によって採用活動どころではなくなってしまった」、「予定していた通りに採用活動が進められていない」という状態に陥りました。

たとえば「ANAグループの2021年度入社に向けた採用活動の一時中断」は大きく報道されました。


今後も売上減少の影響で、新卒採用できない企業が出てくることは明らかです。

そこで今、就職・転職を考えているあなたに、活動する際に知っておくべきポイントを8つ、お伝えします。

新型コロナウイルス騒動の影響を受けている業界はどこ?

まずは、新型コロナウイルスの影響を受けている業界について知っておきましょう。

xenoBrain(ゼノブレイン)が、新型コロナウイルスの影響度スコアを公開しています。

<減益率の大きい業界ランキング>

順位業界名スコア
1位観光・宿泊-1,133.2
2位外食-770.6
3位百貨店-628.5
4位自動車-484.9
5位自動車部品-426.6


6位以降は、鉄道輸送→倉庫→レジャー→航空輸送→家具・雑貨店と続きます。

スコアは、「マイナスが大きければ大きいほど、減益率が高い」ということを示すものです。

ちなみに2020年の米国大統領選挙でトランプ大統領が敗北した場合、日本にもたらされる影響スコアはおよそ+724.3。

ということを考えれば、やはり観光・宿泊業界に起きている影響度スコアは、衝撃的な数値です。

そして自動車に関連する業界も、トランプ大統領が敗北した場合の影響を、マイナスに置き換えて、単一業界で受けているということになります。

次は、「経済損失額(予測値)」が大きい業界のランキングです。

<経済損失額が大きい業界ランキング>

順位業界名経済損失予測値(百万円)
1位自動車-1,876.257
2位鉄道輸送-805.337
3位自動車部品-620.548
4位建設-281.947
5位電気・ガス-280.822



6位以降は、金融→リース→レンタル→外食→商社・卸売→電気製品と続きます。

自動車・鉄道・自動車部品業界が上位3位を占めています。

新型コロナウイルス騒動によって「遠方への移動が敬遠されるようになった」という影響が、はっきりと現れていると言えるでしょう。

新型コロナウイルスの影響を受けていない業界

一方で、新型コロナウイルスの影響を受けていない、あるいは増益している業界について紹介します。

<増益率の大きい業界ランキング>

順位業界名スコア
1位Eコマース(電子商取引)260.2
2位医療器具・医療サービス170.0
3位製薬・臨床試験137.8
4位ドラッグストア・薬局132.1
5位スーパー・コンビニ89.9

6位以降に、ゲーム・コンテンツ制作→ソフトウェア開発→製紙→パルプ→システムインテグレーターと続きます。

やはり医療関連業界は、増益となりました。

それらをおさえてWeb上での決済などにまつわるEコマース業界が、さらに大きな増益となっています。

<経済利益額が大きい業界ランキング>

順位業界名経済利益予測値(百万円)
1位製薬・臨床試験254,436
2位スーパー・コンビニ87.525
3位医療器具・医療サービス59.900
4位ゲーム・コンテンツ制作55.241
5位ドラッグストア・薬局39.295

6位以降はEコマース→システムインテグレーター→製紙・パルプ→ソフトウェア開発→ネットメディアと続きます。

増収額については、医療やスーパーなど、新型コロナウイルス騒動下でも稼働せざるをえない業界がランクインしました。


実際、医療・健康の分野では、4月に入って求人募集数が大きく伸びています。

医療研究機関だけでなく、健康食品メーカーなどからの募集数も、かなり増えたことが要因です。

またエンジニアやデータサイエンスのスキルを持った人材、が「医療・健康」業界でも必要とされているという背景もあります。

ここ数年でDX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組む企業が増えたため、データサイエンティストの募集が伸びているのです。

医療・健康業界に限らず、IoT・AI・ビックデータを扱える異なった分野の人材を活用し、自社のイノベーションを加速させていることが背景にあります。

新型コロナウイルス騒動下において転職活動を始める前に、おさえておくべき8つのポイントとは

というように新型コロナウイルス騒動によって、経済全体の様相は大きく変化しました。

一部の業界を除けば、その変化はネガティブな方向にむいています。

今現在、経済に起こっている現象は、歴史上でもかなり珍しい状態です。

よって転職活動する場合にも、特別なポイントをおさえておかなければいけません

下記では、おさえておきたい7つのポイントについて詳しく解説します。

①未経験歓迎の求人は減少している

まず、未経験歓迎の求人が減少している点に注意しましょう。

新型コロナウイルス騒動下においては、未経験歓迎の求人は多数存在しました。

しかし4月以降は未経験歓迎の求人が減っていき、少しずつ「買い手市場」へ変化しつつあります。

以前は求職者に選択権がありましたが、これからしばらくは、企業側に選択権が回り続けるでしょう。

2020年1~3月は『未経験歓迎』とされた求人は、前年比130%前後で推移していました。

しかし2020年4月に106%、5月には100%を大きく割り込み、71%まで減少しています。

景気が悪化すると、企業は、新人研修や人材育成に時間とお金がかけられなくなります。

したがって即戦力として使える、本当に必要な経験者を、企業は厳選するようになっていくのです。

②新卒就職の氷河期が来るかもしれない

就職氷河期といえば、2000年前後のことですね。

バブル崩壊から約10年後でした。

バブル期に大量採用した人材を抱え、昭和の終身雇用を引きずっていた企業は、身動きが取れなくなっていました。

そこで新卒採用を減らし、非正規雇用の比率を増やしたのです。

この現象を新卒就職者から見れば、「氷河期」だったというわけです。

また2008年のリーマンショックの時には、やはり景気の悪化のため、内定取り消しが多く出て社会問題になりました。

そして就職活動に対するリーマンショックの影響は、2年後の2010年に大きく出ています。

今回の騒動でも、同じことが起こるでしょう。

帝国データバンクの5月の調査では、新型コロナウイルスが業績に影響を及ぼしていると答えたのが62.8%。

今後、マイナスの影響があると答えたのは23.3%でした。

業績修正動向の調査でも、2月から6月半ばまでに、上場企業のうち800社以上が業績予想の下方修正をしました。

とはいえ、かつてほどの惨状にはならないという予測もできます。

リーマンショック時は、採用数を絞ったため、企業側は今、「中堅社員が育っていない」という問題を抱えています。

よって、「今の段階でも将来的な人材は確保しておく必要がある」と考え、一定の採用枠を確保する可能性もあるでしょう。

第二新卒・転職の求人数よりも新卒採用の数は圧倒的に多いです。

新卒採用というチャンスを、絶対に逃さないようにしましょう。

③在職中の人は今の仕事を継続しよう

厚生労働省発表によれば、3月の有効求人倍率は1.39倍。

前月より0.06ポイント下がり、3年半ぶりに1.4倍を割りました。

加えて、3月の新規求人は12.1%減と、転職希望者にとっては厳しい状況となっています。

転職市場は、少しずつ小さくなっているのです。

少ない選択肢の中に、あなたが希望する仕事があるとは限りません。

今の仕事を続けながら、少しずつ転職の準備、情報収集をすることです。

職場の人間関係が良くないとか、仕事がつまらないなどの「ネガティブの転職」は、今はするべきではありません。

転職の目的、動機がはっきりとするまでは、現職にとどまりましょう。

先に退職してから、転職活動を始めるという悪手は、今は最も避けるべき方法です。

景気後退がいつまで続くのか、人々の活動が通常通りに戻るのか、その前に第二波が来てまた自粛してしまうのか、非常に見通しが立ちにくい時期です。

以上のことから、今は転職に適したタイミングとは言えないのです。

④未経験分野に転職しようとするのはやめよう

未経験分野に挑戦するのは、たいていは20代、つまり「第二新卒」と言われる志望者です。

しかし景気が冷え込んでいる今、企業には未経験者を採用して育成する体力がありません。

企業側はポテンシャルに期待して採用するよりも、経験者を厳選して採用活動を行うようになっています。

あなたの経験や持っているスキルが活かせる仕事を選び、その上でどういう働き方をしたいかを追求する必要があるでしょう。

現状においては、特に「Webマーケター」や「開発エンジニア」が人気の職業です。

新型コロナウイルスが流行る前は、未経験者にもそれなりに採用枠がありました。

しかし現在募集されている求人の多くは「経験者」です。

未経験者に与えられるチャンスは、きわめて小さなものです。

未経験者がこれらの職業に就こうとするのであれば、まずは学校で学び、それから就職活動をする必要があります。

というようには地道な努力や事前準備が必要な職業であるのにもかかわらず、未経験で入って

もすぐに活躍できると勘違いしている人もいます。

「理想と現実」・「売り手市場から買い手市場への変化」など、今のリアルを見極めて就職・転職活動をすることが大切です。

⑤離職中の人は、一段ギアを上げて

現在離職中の人は、求人が日に日に減っていく厳しい現実を目の当たりにことでしょう。

そして今後も、求人は減っていくと予測できます。

離職中であれば、とにかく就職活動のギアを一段上げて、スピードアップしていきましょう。

一番避けなければいけないのは、当然ながら無職の状態が長く続いてしまうことです。

景気回復を待つのは、決してよい考えではありません。

希望の求人だけでなく、希望の求人よりも条件が下がる求人も、保険として受けておいた方がよいでしょう。

条件を追求するなら、景気が回復した頃に、また転職活動をすればいいのです。

その時には、今よりは求人数も増えているはずです。

⑥成長する企業の見分け方

今回は疫病でしたが、日本ではさまざまな天災が発生しうるため、今後も予測不可能なことは起こります。

淘汰される仕事や企業、逆に新しく生まれる仕事や企業が出てくるでしょう。

そして「成長する企業」と「成長しない企業」というのも、ある程度見えてくるはずです。

新型コロナウイルスの流行の中でも、採用活動を継続した企業は、すぐにリモートワークを導入したり、Web面接で対応できた企業です。 

そしてそういった変革が適切だったのは、現状を見れば明らかでしょう。

つまり新型コロナウイルス環境下でベターな選択ができている企業は、ある程度将来性があるとも考えられます。

また、「採用を抑制する企業」と、「積極的に採用している企業」が二極化しています。

新型コロナウイルスの影響をあまり受けていない企業や、スタートアップなど急成長している企業は、他の会社が採用活動を縮小したり停止している間に、優秀な人材を獲得しようと動いています。

常に人手不足のブラック企業が混ざっているかもしれませんが、採用活動を止めていない企業は、今後も伸びる可能性があると見るのも良いでしょう。

⑦パラダイムシフトが起こっている

新型肺炎の影響による自粛期間に、多くの働く人の価値観が変化しました。

在宅勤務を経験したことで、家族との時間の大切さに気付いた人も多いでしょう。

いろいろな業務を在宅勤務に切り替えることにより、ペーパーレス・ハンコレスが推奨され、通勤時間・会議・オフィスの不要論さえも出てきました。

要するに今までとは違う価値観が、メインストリームへ成り代わりつつあるのです。

いわゆる「残業が正義」という考え方のおじさんたちが、本当に排除されていくかもしれません。


残業しているよりも、いかに勤務時間内に結果を出すかという、仕事の効率化がさらに進むでしょう。

でなければ、目の前でマネジメントができないリモートワークで、結果を出すことはできません。


仕事選びに関しても少しずつ、変わりつつあります。

「どの企業に入るのか」という意識から、企業に依存するのではなく自分の未来を想像して、

  • そこにたどり着くために必要な能力は何か
  • その能力をどこで付けられるか
  • 自分はその能力を身につける適性を有しているか

という基準で会社選びをすると、ミスマッチが起こりにくくなります。


もちろん入社後は、自ら積極的に必要なスキルを学び、結果を出し、自分の市場価値を高めます。

このことが、終身雇用が崩れ去ったこれからの時代の常識となるかもしれません。

まとめ

「グローバル化」という言葉が、ビフォーコロナでは高らかに叫ばれていました。

しかし一度新型コロナウイルスが流行すると、各国はいとも簡単に国境を閉鎖し、人と物の動きを止めてしまいました。

その結果、流通は混乱し、生産が止まり、在庫切れという事態もおきました。

今回の自粛期間中に、「実は生活に必要無いもの」「あったらいいなと思うサービス」など、人々はいやおうなしに気付かされましまいました。

そして今後、不要なものはどんどん淘汰されていきます。この人々の価値観の変化に対応できる企業や、想定外の事態にも動じない人は、生き残っていけるでしょう。

これから転職を考えるのであれば、社会全体の流れを冷静に観察することが大切です。

もしかしたら、新型コロナウイルスの第二波がやってくるかもしれません。

さらに東京オリンピックは開催されない可能性もあります。

そして、リーマンショック以上の世界恐慌並みの不況になる可能性も、ゼロではないのです。

不安定な状況の中で、今は動く時ではないと思ったら、しばらく世界の動きを注視するのも、悪くはないでしょう。

とはいえ、全ての転職活動を止めてしまうのはお勧めできません。

自分を成長させるために何かを始めてみたり、企業の価値や魅力を少し長期的な視点で見たり、不運なことが自分の身に降りかかったときに柔軟に動けるように、準備をしておくことが重要なのです。

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