日本は誰にでもITエンジニアになるチャンスが与えられている
本日はIT業界研究 「文系でもなれる?エンジニアの仕事内容と働き方」と題して説明していきます。
皆さんは物理や化学・生物など、理系の科目を高校で選択していましたか?
特に物理なんて、難しすぎて避けて通ってきた人が多いでしょう。
科学者の武田邦彦先生は、「工学の基礎になる物理を履修しない国民が増えることは、好ましくない」と言っています。
1966年度は、高校で物理が必修だったので、履修率98%。
30年後の1996年度には、大学受験入試で点数が取りにくく、選択制になったこともあり履修率は14%まで下落しました。
単に大学受験の問題ではなく、日本の世界トップクラスの科学技術力が、今後理系の人間の減少とともに落ちてしまうことを心配されています。
「エンジニアの仕事は理系じゃないと無理だろう…」と諦めている人、そんなことはありませんよ。
転職サイトを見ると、文系・未経験でも応募可能なプログラマー・エンジニア職はたくさんあります。
今回はITエンジニアの仕事内容や働き方、その中でも文系からでも挑戦できるエンジニア職に焦点を当てて、お話していきます。
エンジニアは実力勝負、文系理系関係なし
ITエンジニアが理系でなければなれないというのは、単にイメージの問題。
「設定したり組み立てたり、修理をしたりするんだろ…」
「新しいテレビを買った時の設定でさえ面倒くさいのに、よく細かいことできるな…」
そんな風にエンジニアのことをイメージしていませんか?
家庭用のPCが登場したのが1970年代後半、一般家庭でのPC保有率が50%を超えたのは2000年。
ということは、ITエンジニアは理系というイメージを持っているのは、古い人間ってことでしょうか?
2000年生まれの子が今20歳。
生まれたときからPCや携帯電話がある環境で育てば、もしかしたらそんなイメージを持たないのかもしれませんね。
ITエンジニアは、仕事が出来れば評価されます。
彼らが最終学歴や学部を気にして、仕事をしていると思いますか?
そうではありませんね。
ですから、文系出身だからと臆する必要はないのです。
ITエンジニアの仕事の流れ
「ITエンジニア」とひとくくりにされることが多いのですが、ざっくり分けて
- 開発系エンジニア
- インフラ系エンジニア
に分けられます。
この2つには、若干の仕事の流れに差があるので、確認していきましょう。
開発系エンジニア
システムエンジニア(SE)、プログラマー、Web系エンジニアと呼ばれる人たちは、開発系エンジニアに含まれます。
彼らの仕事の流れを簡単に説明します。
要件定義
お客様の要望を聞き出します。
どんな製品を作りたくてどんな機能が必要か、いつまでに必要かなど、大まかなプランを決めて合意を取ります。
基本設計
要件定義で合意を得たことを、より具体的なシステムにするための設計を行います。
詳細設計
基本設計をもとに、プログラミングができるレベルまでの、細かい部分まで設計します。
プログラミング
プログラマーが詳細設計をもとに、コードを書いてプログラムを作ります。
テスト
プログラマーが書いてくれたものが、設計通りに動くかどうかをテストします。
納品
全てのテストが終わり、問題がない状態にして、お客様へ納品します。
納品までで開発系エンジニアの仕事は一旦終わりですが、その後のトラブルへの対応や、メンテナンスにも対応します。
お客様と接する機会がたくさんあるので、コミュニケーション能力が必要になります。
そして開発やテストにも関わりますので、技術者としての能力ももちろん必要です。
インフラ系エンジニア
インフラ系エンジニアとは、言い換えればシステム環境を整えるエンジニアです。
サーバーやネットワーク機器という、プログラムを格納するためのサーバーやPC、制御するためのソフトウェアが相手になります。
開発系と仕事の流れはあまり変わりませんが、大きく異なる部分は、
- 詳細設計
- 構築
- テストの仕事
の内容です。
要件定義
お客様の要望を聞き出します。
求められるITインフラを実現するためにはどんな機材が必要か、どんな機能・設定が必要になるかを把握し、どのように作成すればいいのかを要件に落とし込んでいきます。
基本設計
要件定義でまとまった方向性を、設計資料に落とし込んでいきます。
詳細設計
基本設計をもとに、具体的な構成やサーバーやソフトウェアを動かすための設定値などをあらかじめ決めておきます。
構築
機器の搬入や組み立て、設置や配線、ソフトウェアのインストールや設定をします。
詳細設計で決めておいた設定値を入れていきます。
テスト
構築したサーバーやネットワーク機器が要件通りに動くかどうか、動作・負荷のテストします。
納品
全てのテストが終わり、問題がない状態にして、お客様へ納品します。
保守・運用
不具合が生じた場合、インフラ系エンジニアは早急に原因を突き止め、復旧作業などを行います。
アクセス数が増えて、サーバーがパンクしないように、どれくらいの負荷まで耐えられるのか、どのように負荷を分散させるかなどを事前に想定しておきます。
エラー自体をなくすために、アップデート・追加の機器を設置・設定の変更などを行います。
このように開発系とインフラ系では若干の差があります。
開発系は納品した後はサポートをするくらいですが、インフラ系の運用は納品後も基本的に24時間365日、管理をしていかなければなりません。
ITエンジニアの働き方
あるサイトが現役システムエンジニアにアンケートをしたところ、約8割が会社員エンジニアで、残りの2割がフリーランスだと回答しました。
最初からフリーランスのエンジニアになろうと考える人はいないと思いますので、今回は会社員エンジニアとして働く場合の働き方をご紹介します。
年収
入社1年目、又はキャリアが浅い20代は年収250万円前後で、そこからキャリアを積み上げることで年収も上がっていきます。
会社員エンジニアの平均年収は約520万円。
順当にキャリアを積んでいけば、年収750万円以上も期待できます。
ちなみにフリーランスは経験を積めば年収1000万円超えも可能です。
勤務時間や残業
開発系エンジニアは、納期に間に合わせるために、納期前に残業が多い事もありますが、基本的には土日休みの日中のみの仕事になります。
インフラ系エンジニアも、お客様の都合に合わせなければならない設計や構築の仕事の人は、開発系と同じく土日休みの日中のみの仕事になります。
ただしインフラ系の保守・運用は、24時間365日、サーバーなどを監視していなければなりません。
トラブル発生にすぐに対応できるように、シフト制で土日・夜間の勤務もあるでしょう。
キャリアアップ
会社の大きさや、プロジェクトの大きさにもよりますが、まず新人は先程説明した仕事の流れの下の方からスタートします。
保守・運用から任され、経験を積めば構築、設計と上がっていきます。
ITエンジニアで活かせる文系のスキルとは?
ITエンジニアはPCとにらめっこしながら、両手で高速タイピングしているイメージありませんか?
実はそうでもありません。
プログラミングの技術も重要ですが、他にも必要とされるスキル、文系である方が理系よりもプラスな能力がありますのでご紹介します。
文章作成能力
プログラミングは各言語を使用して文章を作ることに似ています。
小学生のころから何回も書かされた「作文」のように、文章を作る能力が必要になります。
さらに仕様書や報告書を作る機会も多いので、文系の強みが活かされますね。
読解力
プログラミングでは、公式ページのサンプルプログラムを読む機会が多くあります。
そしてお客様や仕事の仲間からの資料やメールの内容を、正しく読み取る必要があります。
コミュニケーション能力
ITエンジニアにおいても、相手にするのはやはり機械ではなくお客様。
お客様の要望を聞き出し、提案、スケジュールや予算などの調整・確認など、円滑なコミュニケーションを取ることがITエンジニアの重要な仕事です。
一緒に仕事をする仲間との関係性を良くしておくことも、認識違いによるミスを防ぐことができますね。
文系が就職しやすい職種
文系でもITエンジニアとして活躍している人はたくさんいます。
しかしAIなどの先端技術に関連するごく一部の仕事は、未経験者では挑戦できない、情報系の専門学校や大学を出ていなければできない仕事もあります。
それ以外の職種で文系であっても比較的就職しやすい職種をご紹介します。
開発系エンジニア
アプリケーションエンジニア
企業の業務効率化や自動化を助ける業務系アプリケーションを開発します。
社内の給与システム、経理システムから銀行ATM、発券機などの社会的なインフラ開発に関わることもあります。
Webエンジニア
Webエンジニアが開発するWebアプリケーションとは、皆さんが普段利用しているGoogle ChromeやFireFox、SNSやショッピングサイトなどが代表的なものです。
組み込み系エンジニア
家電製品や機械製品などの、特定の機器が動作する仕組みを作り、組み込みます。
エアコンには人を感知するセンサーが付いていたり、室内温度を一定に保つ機能が付いていますね。
このように、皆さんの身の回りの機器に、組み込むシステムを開発するのです。
インフラ系エンジニア
ネットワークエンジニア
企業の中で使用するたくさんのコンピューターや周辺機器をつないで、プログラムやデータを共有できるネットワークを設計・構築します。
プログラミングするよりも、ルーターやLANケーブルなど、手で触れて体を使って仕事をすることが多いです。
そして運用・保守を未経験者や新人が任されることが多いです。
サーバーエンジニア
コンピューターシステムを運用するサーバー機器を、設置場所・通信速度・電源容量・コストなどを考慮して設置します。
サーバー用のOSや、運用に必要なアプリケーションをインストールします。
そして24時間365日機器がきちんと動くように、運用・保守を行います。
データベースエンジニア
データーベースにデータを保存すること、データを整理して管理すること、必要なときにデータを瞬時に取り出すこと、これらを円滑に行えるようにシステムを構築・運用します。
データベースへのアクセス権の管理や、データのバックアップ、データベースへのハッキングや、データ流出を防ぐためのセキュリティの設計も行います。
経済産業省の資料から見えてくること
参考URL:https://www.meti.go.jp/press/2017/08/20170821001/20170821001-1.pdf
IT業界の市場規模は年々伸び続けています。
そのペースに人材確保が追いついておらず、IT業界は常に人材不足の陥っています。
人材供給のピークは昨年迎えてしまい、これからはさらに需要と供給のバランスが悪くなっていくのです。
平成29年8月に出された「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」という、経済産業省の資料があります。
みなさんも一度目を通しておくことをお勧めします。
1つ面白い質問がありましたのでご紹介します。
世界のIT従事者へ「現在のITに関連する仕事にどのくらい就きたいと思っていたか?」という問いに対して、インド・インドネシア・アメリカのIT従事者の60%以上は「絶対に就きたいと思っていた」と答えました。
「できれば就きたいと思っていた」と答えたのは20%。
両方足して80~90%のこの3か国のIT従事者は、この仕事をしたくてしている人のようです。
日本のIT従事者の回答は、「絶対就きたい」と答えた人は7%、「できれば就きたい」約30%。
55%はITの仕事を「選択肢の1つと考えていて、就いても良いと思っていた」という、驚きの結果でした。
世界はITエンジニアになるためには、それなりの専門の学校や大学を出てはじめて、エンジニアとして仕事が出来ます。
逆に考えれば、日本は自分で本を買って学習しても良し、学校に行っても良し、未経験の人材を育てる研修制度を持つ企業に就職するも良し、誰にでもITエンジニアになるチャンスが与えられているということです。
まとめ
IT業界研究 文系でもなれるのか、エンジニアの仕事内容と働き方についてご紹介しました。
求人サイトを覗いてみると、新卒採用でも中途採用であっても、未経験のITエンジニアを募集する会社はかなりありますね。
自分は文系だからとITエンジニアになることを諦めていたみなさん、是非求人・転職サイトなどを見てみてください。
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